第二十分科会 障害児・障害者の教育と福祉

分科会報告

全体会(1日目)

 およそ60名の参加があり、二日間にわたって各実践報告に熱心な議論がなされました。
 1日目は、全体会で指定レポートを含み、3本の報告がありました。
 「障害者制度改革の動向ときょうされん運動」(北村典幸氏)では、現在の障害者施策の流れが説明されました。権利条約とからめながら「障害者の権利とは」まで広い視点での報告がありました。
 札幌養護学校共栄分校の三浦美幸さんから、高教組養護学校教員部で行った保健室実態調査の報告があり、多様な問題に少数で対応している保健室の現実が明らかになりました。   札幌養護学校の小林勢子さんの実践レポートでは、障がい特性からではなく、心に寄り添い、子どもの実態から出発している実践に多くの参加者から共感が寄せられました。
(拓北養護・市橋博子)



〈分散会1 障害児学級〉

 参加者は15名。レポートは6本でした。その内、教育実践に関わるレポート4本、制度に関わるレポート2本でした。教育実践のレポートでは子どもの自己肯定感の育成と気持ちに寄り添うことの必要性が話し合われました。作文の会で指導経験を持つ釧路教組の千葉先生のレポート「7色のキラキラ言葉」では、軽度の広汎性発達障害Rさんの紡ぐ言葉を丁寧に取り出し通信に載せることで自信を付け、友達とのコミュニケーション力を育てた報告が印象的でした。制度のレポートでは局による支援学級の開設要件が異なること、地域により支援学級在籍率が異なることが話題になり、調査をしていく必要性が話し合われました。
  



〈分散会2 障害児学校〉

 参加者は17名(内大学生2名、保護者1名)、5本のレポート討論が行われました。実践レポートでは札幌養護学校高等部1年のあこがれを育てる進路の取り組み(永武・杉田),自閉症生徒との気持ちをかかわりあわせながら取り組んだ実践(杉田)、学童保育指導員の障がいのある子の放課後の様子(翼クラブ・小林)、北海道の医療的ケアの実態や今後の方向性を展望したレポート(拓北・市橋)、子どもたちの健康・発達を保障するための保健管理・保健教育についての話題提供(美唄・小山)がありました。
 今年は学童保育、保護者の参加もあり、それぞれの立場からもレポートに関する発言があり、活発な分散会となりました。



〈分散会3 後期中等教育〉

 レポート6本、参加者は16名でした。熊谷さんは、教育の現場における貧困問題を取り上げ、学校でできること、自治体との連携や家庭のサポートの大切さを報告しました。玉島さんは、子供理解、かかわり方を見直し、自信の積み上げや安心できる環境作りをすることで、子供の成長を保障していく取り組みを報告しました。小野島さんは、卒後支援の事例報告を通して、厳しい現状に対して教育で取り組めること、福祉と教育はどのようなつながりを持つことができるのか問題提起しました。藤田さんは、地方の学校の進路支援を通して浮かび上がった不況や制度改革による子供への影響を報告して、誰もが安心して生活するための社会作りの必要性を強調しました。小澤さんは、「チャレンジキャンパスさっぽろ」の設立の趣旨報告を通して、仲間との出会いの大切さや後期中等教育後の学びの場の必要性を報告しました。どの報告も人と人とのつながりが大切であることを提起しており、改めて、子供、家庭、福祉、自治体、学校がつながり、実践を通して学び合うことの大切さを確認することができました。